吉久直志おすすめ映画紹介「MAROKO 麿子」

吉久直志おすすめ映画紹介。今回の作品は「MAROKO 麿子」を紹介します。

吉久直志
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押井守の世界を最大限に堪能できる隠れた名作!

吉久直志おすすめ「MAROKO 麿子」はこんな映画

1989年に押井守監督が作ったオリジナル・ビデオ・アニメーション作品「御先祖様万々歳!」を劇場用に再編集して新たな解釈で作られた作品。

あらすじ

郊外のタワーマンションの一室に住むごく一般的な核家族「四方田」家に、未来からタイムマシンで御先祖に会いにやって来たと言う謎の美少女「麿子」。

ローンの支払いに疲れきってた父、近所付き合いか嫌いな母、そして夢みたいな刺激的な何かが起きることを妄想し続けていた高校生の息子。

そんな家族が1人の少女の来訪により家庭崩壊していく様を描いたコメディアニメーション。

作品データ

公開年1990年(日本)
上映時間90分
監督押井守
脚本押井守
主な出演者勝生真沙子
古川登志夫
緒方賢一

映画「MAROKO 麿子」吉久直志おすすめポイント

押井守監督が当時やり終えていた「うる星やつら」をもう一度考察し、大人の「裏うる星やつら」とも呼べる

もしラムが詐欺師だったら?

をテーマに作り上げた作品。

虚構と現実が入り交じる物語や押井節とも言えるセリフ回し、更に「うる星やつら」のメンバーによる実力派声優たちの見事な演技力で、全盛期だった押井イズム溢れる映像体験が気持ち良い作品です。

感想

  • 家族とは何か?
  • 言葉とは?
  • 男と女
  • 親と子供
  • 家族や血縁と言う幻想にも似た目に見えない鎖に繋がれた家と言う狭い世界に【異物】が入ってきた時、家族は一体どうなるのか?
  • 家族で有ることの証明とは?
  • 血は水より濃いのか?
  • なら何故血縁者同士で争うことがあるのか?

そんな深いテーマがとても軽く、明るく?笑いながら崩壊していく様が観れる作品です。

押井守監督の全盛期とも言うべき時代の作品だけあって、十八番の現実と虚構が入り交じる不思議な世界。

独特の押井節とも言える言い回しでマシンガンの様に喋りまくる声優陣!

アニメーション(「動く」の意味)なのに気づけば全く動かずに語り続けるキャラクター!!

何が本当で、何が嘘なのか?

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ネタバレ感想

ネタバレ表示

OVAで作られた「御先祖様万々歳!」のラストシーンをプロローグとエンディングに持ってくることで、これまで語られた話が主人公の語った作り話の様に聞こえる妙。

しかし、ラストに出てくる飛行船を追いかける主人公の瞳に映るのはあの孫娘と言う少女。

未来から来た息子の孫娘と言う言葉を受け入れた父。

タイムマシンなんて馬鹿馬鹿しい与太話を否定して家を追い出された妻。

孫娘と言う設定を信じたフリをして、可愛い少女と同棲生活を夢みる高校生の主人公。

家族が、家族になろうとする少女を〈家〉に引き入れた時から家族の崩壊が始まるこの物語は、押井守監督が目指した「うる星やつら」の勝手に家に入り込んだ異物「ラム」が詐欺師だったなら?と言った裏テーマが込められたダークコメディなのだ。

また、豪華声優陣の見事なまでの会話力と表現力。

そして、アニメーションなのに舞台セットをイメージした照明や演出が心の隙間に心地いい。

特徴的なキャラクターデザインは、一見して取っつきにくいかもしれないが、嫌がらずに喰ってみて下さい。

最高の陶酔感覚が味わえますから。

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