吉久直志おすすめ小説紹介「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」

吉久直志おすすめ小説紹介「機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ」

吉久直志おすすめ小説紹介。今回の作品は「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」です。

吉久直志

ラストシーンで号泣した大人の為のビターなガンダム。

吉久直志おすすめ「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」はこんな小説

今や単なるロボットアニメという枠を越えて、一大産業となった「ガンダム」シリーズの一つ。

30年前、最初の「機動戦士ガンダム」から始まり「逆襲のシャア」で完結したシリーズの続編であり、後日談的な物語を原作者である富野由悠季監督がブライト・ノアの息子を主人公に描いた正統にして異色作。

今年、30年越しに悲願の映像化を果たしたシリーズ中、最も悲しく切ない物語。

あらすじ

人口増加により地球の環境汚染は深刻化し、宇宙に建造した数百基のスペースコロニーで生活することが当たり前になった時代。

地球には特権階級のエリートだけが住み、宇宙に住む人には自治権が与えられないことに不満を覚えた宇宙移民者(スペースノイド)は、地球連邦政府にたいして独立戦争をしかけ、幾度もの宇宙戦争を繰り返していた。

やがて、宇宙移民者のリーダー《シャア・アズナブル》とライバルであり地球連邦軍のエースパイロット《アムロ・レイ》の戦いを、子供時代にその狭間で目撃したハサウェイ・ノアは、大人になった時、地球の環境保護活動をしながら、地球を汚染し続ける地球連邦政府のエリートたちを地球から追い出すための反連邦組織『マフティー』のリーダーとしてテロ活動を行っていた。

そんな最中、地球降下船の中で偶然にマフティー討伐の為に赴任する地球連邦軍のケネス大佐と謎の少女ギギ・アンダルシアと出会う。

やがて三人の運命が絡まり、戦いは複雑な人間模様を描き出す。

作品データ

著者富野 由悠季
初版発行年1989年
ジャンルSF

小説「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」吉久直志おすすめポイント

この本は30年前に描かれたとても古い話です。

今では様々な監督による、様々な世界観のガンダムが沢山作られているが、当時は「逆襲のシャア」の公開により、アムロとシャアの物語に決着がつき、ガンダムは終わった空気が流れていた。

更にはガンダム自体が、作品内の歴史を積み重ねた結果、ガンダムマニアしか観ない閉息された作品になっていて、故に映画で完結編を作り終息させる事を選んだのだ。
だから当時、中学生の僕は本屋でこの小説を見つけたときに驚喜した。

ガンダムの続編がまだ作られる!!!

と。

だがその内容はとてもハードで、政治色と大人な人間関係が描かれた地味な話だった。

しかし!だからこそのめり込んだ。

アニメでは絶対に描けないハードな戦争、テロリズムという世界。
小説は前編、中編、後編の三部作からなっている。

しかし、そのなかで主役のガンダムが出てくるのは前編の最後。
そして、そのガンダムが戦場で活躍するのはなんと、たったの二回なのだ!!

なんと地味で映像栄えしない物語!
だからよい!!

戦争をテーマにアニメを描いてきたガンダムが、更に踏み込んで、テロリズムへと入っていく様は、二次大戦、湾岸戦争を経て、中東との対テロ戦争へと移行した現実世界を予言しているかのような歴史シュミレーションは、富野監督の勤勉さの一つにすぎない。

そして衝撃だったのはそのラストシーンである。

この物語が30年もの間、正史として扱われず映像化されなかったのは、多くの理由があるのだろう。

  • 主人公がテロリスト!
  • ガンダムが活躍しない!
  • ガンダムを連邦軍の敵組織が運用!
  • モビルスーツが進化しすぎて複雑なデザインで動かせない!
  • ラストシーンの悲劇!

諸々、当時のアニメでは不可能が沢山含まれた挑戦的作品なのです。

ただ、この作品はガンダムで有ることを抜いても単純に「面白い!」のだ。

僕自信、全ガンダムシリーズの小説を持っていても、この「閃光のハサウェイ」だけは何度も読み返す名作なのだ。

そして時が流れ、
21世紀の令和2年!
満を持してアニメ化される事が決定した。

それには、
様々なガンダム作品の誕生!
世界情勢の変化!
作品の多様化!
CGの普及!
等、今ならば描ける時代になったのでしょう。

勿論、小説とは違う、アニメーションとしてのエンターテイメントな作品にはなると思います。

でも、この今の時代に是非とも読んで貰いたい作品なのです。

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吉久直志のネタバレ感想

ネタバレ表示

この作品の一番秀逸なところであり、僕が衝撃を受けて、一番好きにまで上り詰めた理由かもしれないのは。

  • 最後に主人公が負けるのだ!
  • ガンダムが負けるのだ!!

これまでの作品ではニュータイプがガンダムに乗って、敵を倒して戦争を終わらせる。
というのが当たり前で、アニメとして
「ガンダムが最後に勝つ」
のはヒーロー物の常識です。

だからこそ、小説でしか描けなかった。

テロリズムでは解決しない。
テロリストは銃殺される。
友情まで得たケネス大佐の指揮でハサウェイを銃殺するシーンはガンダムシリーズ屈指の名シーンだと思う。

是非とも、この悲劇のガンダムを令和の今、映画と共に楽しんで頂ければと思います。

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