吉久直志のおすすめ漫画紹介。今回の作品は「デビルマン」です。
多くのクリエイターが感銘を受けた衝撃作!
吉久直志おすすめ「デビルマン」はこんな漫画
1972年「マジンガーZ」や「キューティーハニー」等の大ヒット作を大量に生み出した天才漫画家、永井豪によるアニメ企画と同時に始めた漫画化作品。
あらすじ
人類より以前に地球上で栄えていたデーモン族の存在を知った飛鳥了は、彼らに対抗すべく親友の不動明にデーモンの能力を取り込ませた悪魔人間《デビルマン》を作り出し、人間界に人知れず入り込んだデーモン狩りを始めるが・・・。
作品データ
作者 | 永井豪 |
掲載紙 | 週刊少年マガジン |
連載時期 | 1972年25号~1973年27号 |
出版社 | 講談社 |
単行本 | 全5巻 |
漫画「デビルマン」吉久直志おすすめポイント
今でこそ漫画版デビルマンはメジャーになってはいるが、一昔前までは「デビルマン」と言えば、青い巨人のアニメ版が大半の人の知るデビルマンだった。
そして、そんな正義のヒーローと思って読むととんでもないトラウマをしょい混むことになるこの漫画版デビルマン。
ラストに向けて加速する恐怖は、当時、漫画の可能性を限界以上に広げたことは間違いありません。
今ある無駄に残酷な漫画とは違う、これまた今のコロナ騒ぎにも通じる人間の集団心理の恐ろしさを見事に描いた傑作中の傑作!!
感想
僕がこの作品を初めて読んだのは高校生の頃、クラスの友人に「何かお勧めの漫画ない?」と聞いたときに貸してもらった事がきっかけでした。
その時ですら20年近く前の漫画で、僕もアニメのデビルマンしか知らなかった為、見た目がより悪魔に近いだけで似た話なのかと思ったいた。
絵柄もノリも古くさいその漫画は、
- 平面的な絵柄
- 自分を拙者と言うヒロイン
- 典型的な不良たち
- おねしょする弟
それらは最初、読むのに結構なエネルギーが必要だった。
しかし、少しずつ世界観に慣れていくに従って、テレビの明るいヒーローとは違う、ダークヒーローとしてのデビルマンの悲しさや、事件の重さが心にのしかかってくる。
ここまではよくある少し大人向けの残酷な漫画だが、あるページよりデビルマンが読者に語りかけてくる。
「これから起きる事件にあなたも巻き込まれることになる」と。
この時は変わった演出程度に読み流していたが、物語は読者の予想を遥かに突き破った事件へと突入し「悪魔とは何か?」「人間とは?」の深いテーマをいやが上にも眼前に突きつけられる。
ネタバレ感想
世界中がパニックに陥り、デーモン族への恐怖から《悪魔狩り》が始まり、集団の正義による恐怖の拡散は、今世界で起こっている現象に似ている。
中性の魔女狩り、戦時中の非国民狩りなどを経験し、社会的差別は撤廃するべきといった流れや教育を受け、けしてそんな愚民になどならないと誰もが思ったはずだろうに、やはり人間は平気で狂喜の愚民へと成り下がる。
しかも自分は正義だと思い込んでいる。
それが人間なのだろう。
デビルマンを読んだ人は必ず心を鷲掴みにされる最悪のシナリオ。
漫画を読んでこんなに怖くなった事は後にも先にも「デビルマン」だけかもしれない。
何となくなギャグではじまり、徐々にシリアスになり、実は様々な出来事が全て計算された事件だと知り、そして人間の本性をむき出しにする。
文学を越えた漫画と言ってもよいのではなかろうか?
デビルマンを読んだクリエイターのおそらく全員が影響を受け、この作品が嫌いと言う人はいないはずだ。
その後、様々な形でデビルマンは復活する。
- 永井豪氏自ら歴史の中の出来事をデーモンの仕業として新設定で描いた「新デビルマン」
- 様々な漫画家が短編で綴る「ネオデビルマン」
- 不動明と合体したデーモンのアモンを主役に、太古のデーモン族を描いた「AMONデビルマン黙示録」
等、インスパイアされた作品は名作が多い。
しかし、やはりオリジナルのデビルマンを越える事は不可能だった。
そんな中、原作者の永井豪氏自らが執筆した続編「デビルマンレディ」は、全く違う漫画かと思わせながらも、キチンと続編に仕上げた秀作で、女性が主人公になったデビルマンが辿る選択の結末もまた見ものである。
そんな誰もが愛してハリウッドからもオファーが殺到する名作漫画。その圧倒的な絵力を体感したい方は是非一度読んでみることをお勧めいたします。
正義を振りかざす悪魔にならないためにも。
吉久直志おすすめの漫画「デビルマン」を読む
デビルマンはコミックスや電子書籍Kindleで読むことができます。