吉久直志おすすめ小説紹介「機動戦士ガンダムⅠ~Ⅲ」

吉久直志おすすめ小説「機動戦士ガンダム」

吉久直志おすすめ小説紹介。今回の作品は「機動戦士ガンダムⅠ~Ⅲ」です。

吉久直志

この物語でアニメ化していたら続編は無かったであろうガンダムのテーマが全て詰められた作品です。

吉久直志おすすめ「機動戦士ガンダムⅠ~Ⅲ」はこんな小説

今や世界的人気を誇り、ロボットアニメという枠を飛び越えて【一大ジャンル】にまで巨大化した、大人気アニメ「機動戦士ガンダム」の原作監督自らが書き上げたもうひとつのオリジンストーリー。

あらすじ

増え過ぎた人類が、宇宙にスペースコロニーを建造し、人口の9割が宇宙移民者になった未来。

月の裏側に位置するスペースコロニー軍サイド3は「ジオン公国」を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を仕掛けてきた。

ジオンが開発した新兵器「モビルスーツ」に対抗するために、地球連邦軍が作り上げた初のモビルスーツのパイロット候補生達が訓練中に敵襲に合い戦場へと駆り立てられていく。

作品データ

著者富野 由悠季
初版発行年1987年
ジャンルSF

小説「機動戦士ガンダムⅠ~Ⅲ」吉久直志おすすめポイント

アニメが放映された当時は、まだ戦後の影響を残しており、軍人が主人公のアニメを作ってはいけなかった。

また、「アニメは子供のもの」という社会的常識か支配しており、戦争をテーマにリアルな人間ドラマをたかがロボットアニメでやろうなんて発想がスタッフの誰にもなく、「ロボットは子供に受ける赤青黄を必ず使わねばならない。」等の制約もあり、富野由悠季監督が本当に描きたかった大人の戦争ドラマの魂が、この小説という文字媒体によって描かれた。

そして、その後のガンダムシリーズだけでなく、リアルロボットと言われるジャンルの表現の限界を押し広げた作品だと思っています。

≫口コミをAmazonで見る

吉久直志のネタバレ感想

ネタバレ表示

この作品は小説であることを最大限に利用してガンダムを描いている。
だからこそアニメでは見ること、知ることの出来なかった大人の世界を垣間見る事が出来る。

アムロが最初から軍人であったり、戦争で死んだ人の内蔵が飛び散ったり、無重力の戦闘で起こるあろう事故や衝撃が描かれ、何より男が女とセックスをする描写や心理が描かれ、ただ「好きだから」とか「愛してる」なんて平和な時代の青春ラブロマンスとは違う、駆け引きや心理、またセックスの後のイラつきや、妥協等を経験がなくても共感が出来るレベルで描かれているのだ。

また、ガンダムはアニメのトリコロールではなく、戦争用にグレーのカラーとなり、敵のモビルスーツも玩具を売る必要がないので、ザクしか出てこない。最新型がドムなのだ。

そしてアニメは途中で打ち切られた事もあり、宇宙に出たことで感覚の進化した人間「ニュータイプ」を希望の様に描き、未来ある終わり方の大団円であった。

しかし、小説版は富野監督がおそらく初めから描いていたであろうラストシーンへと雪崩れ込んでいく。

アニメでは敵同士だったアムロとシャアが、ニュータイプ能力で分かり合い手を結ぶ。
しかし、その直後に動きを止めたアムロをドムのパイロットが撃ち落としてしまう。
主人公の戦場でのあっけない死。
リアルな死とはこうであろう。と言わんばかりの描かれ方。

そして、アニメでは地球連邦政府がジオン公国に勝利して終わるのだが。
小説では、ジオン公国が地球連邦政府を打ち倒し、宇宙に出たスペースノイドが自治権を手に入れる。

ジオン公国のニュータイプ部隊を率いるシャア・アズナブルが連邦軍のニュータイプ部隊の艦長ブライト・ノアと手を組みジオン本国へと乗り込み皇族を全て殺して、シャアの復讐も果たし、シャアがジオン創始者ジオン・ズム・ダイクンの息子として宇宙移民者のリーダーとなって終わっていくのだ。

まさに!ガンダムのテーマが全て詰まった物語だと思いませんか?

アニメの希望ある終わりからシリーズ化して、紡がれ続ける宇宙世紀の歴史も人やマシンの進化を感じれて楽しいのだが。

続編など必要ない程に、完成された「機動戦士ガンダム」の世界を覗き観て、悲惨な戦争と人間の業、そして、もしかしたら誰もが望んだ美しいガンダムの終わりの形を体験してみるのも良いのではないでしょうか。

吉久直志おすすめの小説「機動戦士ガンダムⅠ~Ⅲ」を読む

AmazonのKindleなど電子書籍版も出版されており、購入しやすくなっています。